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横浜市大外科治療学消化器外科 野間大督

私の留学体験記

 皆様こんにちは。私は2015年の春から2年間、がん研究会有明病院 呼吸器外科にレジデントとして国内留学させて頂きました。当教室からがん研への留学はここ数年継続的に誰かしら人を出しており、私も希望を出して留学を実現させて頂くことが出来ました。
画像 全景 がん研は70年前に日本で最初にできたがん専門施設で、現在は東京の臨海地域の広大な公園に囲まれるように立地する700床の近代的施設です。となりにがん研究所も併設され、日夜がん診療と、研究が同時並行に行われています。目と鼻の先には東京ビックサイト、有明コロシアムがあり整備が行き届いて気持ちのいいエリアです。自分はお台場にマンションを借り(高級なやつではありません)、自転車10分で通勤できるようにしました。観光地ではありますが周囲は意外と穏やかで落ち着いていて、休日は家族とゆっくり過ごす時間も持つことが出来ましたし、留学中に2人目の子供も授かりました。


 がん研には各科著明な手術エキスパートが在籍し、呼吸器外科でも開胸・郭清の奥村先生、日本屈指のVATS術者である文先生のお二人の元で学ぶことができました。手術に対する姿勢は大変厳しいものがあり、我々レジデントも術中に激しい叱責を受けることはしばしばあります。なにクソという気持ちで、手術に入る前には同様のビデオを3種類は見てから入りましたし、術中に注意されたことはその日のうちにビデオを復習して、レジデント同士の勉強会で教え合ったものです。



絹笠Dr 手術指導

 また手術の翌朝には自分の担当症例のプレゼンを行います。いつもの定型化された手順とは何が異なり何に注意してどう達成したのか、かなり具体的なプレゼンを要求されます。こういったトレーニングを積み重ねることで少し手術とは何か、自分の中で固まってきたものがある気がします。手術は時として困難を極める症例に遭遇します。かなり分葉が悪かったり、しみ込みリンパや癒着、脂肪の多さになやまされる、解剖学的に特異性があり安全な操作ができない、など。こういった場合でもやはり定型化したノウハウが存在し、意外とあっさり解決してしまう手段を持っていて、それでもなお困難な症例はスタッフ同士でもお互いの手技をチェック・議論し合い常に反省・改善を繰り返している。こういった姿勢も改めて身が引き締まる思いでした。



 手術以外の面では、お給料もらったまま病理部で3か月間研修させてもらい、論文の面倒も見てもらうことができました。また毎年内視鏡外科学会の前日に開かれる呼吸器胸腔鏡研究会では、文先生ご指導の下行った発表で優秀賞をいただき、はじめてがん研で褒められ嬉しかったのを思い出します。休日には釣りに連れて行ってもらったり、思えば楽しいこともありました。

直腸癌 daVinci 500例

 がん研レジデントは全国様々な大学・施設からの派遣を受け入れており、同時期に働いた仲間はこれからの財産だと思っています。特に杏林からきていた同期はお互いのしんどい時に支え合い、夜な夜なVATSドライラボで怒られた手技を練習しあいながら愚痴をこぼし、バランスを取っていました。一生の友人です。こういった、他施設の人と深い関わりが持てるようになるのも魅力のひとつかもしれません。

 あっという間に2年が過ぎましたが、成長したのか、しなかったのかよくわかりませんが濃い時間を過ごしたのは間違いなさそうです。この経験を無駄にしないよう今後も精進し、横浜市大グループの発展に貢献できればと感じております。
最後に益田宗孝教授をはじめ、快く留学に送り出し貴重な経験をさせてくださった関連の先生方に、深く感謝を申し上げます。