乳癌は乳房に発生する悪性腫瘍で、女性が罹患する癌の中で最も多いものです。ただし、まれに男性にも発生することがあります。乳癌にはいくつかのタイプがあり、それぞれの性質に応じた治療法が選択されます。
乳腺・甲状腺外科菅沼 伸康
初期症状として乳房のしこりが最も多く見られますが、他にも脇の下のしこり、乳頭からの分泌物、乳頭や周辺の湿疹・ただれ、乳房の痛みなどが挙げられます。また、自覚症状がなくても検診で発見される場合も少なくありません。
診断にはマンモグラフィや超音波検査などの画像診断が使用されますが、確定診断には病理検査が必要です。病理検査では、しこりの一部または全体を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。必要に応じて、治療方針の決定に役立つ遺伝子検査が行われることもあります。
治療には外科治療(手術)、薬物療法、放射線療法を組み合わせて行います。手術は病変の広がりに応じて、乳房温存手術または乳房全摘術が選択されます。さらに、腋窩リンパ節転移の有無により、センチネルリンパ節生検や腋窩リンパ節郭清が行われます。病期や乳癌のサブタイプに応じて、術前後に薬物療法や放射線療法を組み合わせることがあります。
受診や検査結果を待つ間、不安を抱える方も多いかと思います。インターネットや体験談で情報を得ることもできますが、それらが必ずしもご自身に当てはまるわけではありません。正確な情報を得るために、「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」をご参考ください。不安な点があれば、遠慮なく医師にご相談ください。