食道がん

食道癌とは？

食道癌は、食道に発生する悪性の腫瘍（がん）です。食道は、喉と胃をつなぐ細長い管状の臓器で、ここにできるがんは主に2種類あります。1つは「扁平上皮癌」で、もう1つは「腺癌」です。日本では特に、扁平上皮癌が多く見られます。

消化器・一般外科前澤 幸男

食道癌の原因は？

食道癌の主な原因には、以下の要因が挙げられます。

• 喫煙：タバコは食道の細胞にダメージを与え、癌のリスクを高めます。
• 飲酒：特にアルコールの過剰摂取は、食道癌の発生リスクを大幅に上げます。
• 逆流性食道炎：食道に胃酸が逆流することで炎症が続き、がんの原因になることがあります。
• 熱い食べ物や飲み物の摂取：食道に繰り返し刺激を与えることが、リスク要因となることがあります。

食道癌の症状は？

初期の食道癌は自覚症状が少ないことが多いですが、進行すると次のような症状が現れることがあります。

• 嚥下困難（飲み込みにくさ）：固形物や液体が飲み込みにくくなります。
• 胸やけや胸痛：食道を通る際に痛みや不快感を感じることがあります。
• 体重減少：食事がしづらくなるため、急激な体重減少が起こることがあります。

診断方法

食道癌の診断には、以下のような検査が用いられます。

上部消化管内視鏡検査

口から内視鏡を挿入し、食道内を直接観察して異常がないか確認します。

組織生検（そしきせいけん）

内視鏡を使用して、食道の疑わしい部分から組織を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認します。

CT検査

癌がリンパ節や他の臓器に転移しているかどうかを確認するために用いられます。

治療法

食道癌の治療は、がんの進行度や患者さんの体調に応じて、手術、化学療法、放射線治療のいずれか、もしくはこれらを組み合わせて行われます。

手術

早期の食道癌では、内視鏡手術や外科的手術で癌を取り除くことが可能である場合があります。進行癌の場合には、食道の一部または全部を切除し、胃や腸を用いて再建を行います。

手術アプローチ

当科では、ロボット支援下手術を含めた腹腔鏡手術を積極的に行っています。癌の状態や患者さんの全身状態を考慮した上で、胸部および腹部操作を共にロボット支援下手術を含めた腹腔鏡下手術で行なっています。腹腔鏡手術は創が小さいだけでなく、細かい手術操作が可能であることから、患者さんの身体への負担が少ない方法とされています。

化学療法

抗がん剤を用いてがん細胞を縮小または抑制します。手術の対象とならない患者のほか、食道癌の進行度に応じて手術の前後に一定期間行うことがあります（補助化学療法）。

放射線治療

癌細胞を死滅させるために放射線を照射します。化学療法と併用する化学放射線療法を行うことが一般的です。