遺伝性乳癌

Hereditary breast cancer

遺伝性乳癌とは?

遺伝性乳癌は、特定の遺伝子変異が原因で発生する乳癌です。なかでも、BRCA1 またはBRCA2 遺伝子に変異があることで発症するものが有名で、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)と呼ばれます。この変異があると、乳癌や卵巣癌のほか、前立腺癌や膵癌、男性乳癌などが発生しやすいことが報告されています。

症状

症状は一般的な乳癌と同様、乳房や腋窩のしこり、乳頭分泌物、乳房痛などになります。(詳しくは「乳癌」の項を参照ください)。

診断

乳癌の診断がついた方で、以下の条件に該当する方は、保険診療でBRCA遺伝学的検査を受けることが可能です。検査は家系全体に影響を及ぼすため、メリットとデメリットを十分理解した上で実施されます。

  1. 第三親等以内に乳癌・卵巣癌・膵癌の方がいる場合
  2. 複数回乳癌を発症した場合
  3. 45歳以下で乳癌を発症した場合
  4. 60歳以下でトリプルネガティブ乳癌を発症した場合
  5. 男性乳癌の場合

治療法

BRCA1 または BRCA2 遺伝子に変異がある場合、対側乳房のMRI検査(サーベイランス)や予防的手術(リスク低減乳房切除・卵管卵巣切除)が保険適用となります。また、これらの変異を有する乳癌に対する治療薬も開発されています。詳細については、担当医にご相談ください。

患者様へ

遺伝性乳癌の診療には、遺伝診療科や産婦人科などの複数の診療科が連携し、ご本人やご家族のケアに取り組みます。当院では大学病院の特性を活かし、診療科を超えた包括的な治療を提供しています。検査や治療について気になる点がある場合は、遠慮なく担当医にご相談ください。

解説
  • 乳腺・甲状腺外科菅沼 伸康
  • 乳腺・甲状腺チーム