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心臓血管外科 先天性心臓血管奇形

成人先天性心疾患

成人に達した心疾患には手術を受けずに成人になったものと、小児期に手術を受けたものの、成人期に再び手術が必要になるものとがあります。

手術を受けずに成人になる先天性心疾患の代表は心房中隔欠損症です。小児期と違って成人期の心房中隔欠損症ではすでに合併症を持っていることが多く、特に心房細動の発生は年齢が進むに従って増加していきます。高齢者では手術で心房中隔欠損を閉鎖しても不整脈の発生を止められないことがあります。また、三尖弁の逆流の合併も増加し、手術に際して同時に三尖弁の形成術が必要になってきます。手術の危険性は低いことより、なるべく早期の手術が望ましいと考えられています。

小児期に手術を受けた後に成人期に再手術が必要となる心疾患の一つにファロー四徴症があります。この病気は心室中隔に孔があり(心室中隔欠損)、肺へ道が狭い(肺動脈狭窄)ためチアノーゼが出る病気で、根治術として心室中隔欠損閉鎖と肺動脈狭窄解除が行われます。肺動脈狭窄を解除するためには肺動脈弁がある部位を拡大するわけですが、拡大が不十分だと狭窄が残り、拡大しすぎると弁の逆流が生じることとなり、共に右室の負担が残ることになります。もともと、狭窄していた弁ですので、狭窄も逆流も来さずに手術することは困難で、成長とともに、どちらかが出現する可能性が高いわけですが、狭窄や逆流の程度が高度だと再手術が必要になります。手術としては肺動脈弁を人工弁で置換する手術が選択されることが主流です。また、手術の際に心筋を切開した影響が手術後15年~20年して不整脈(心室性期外収縮、心室性頻拍、心室細動)として出現することがあります。この不整脈の中には生命の危険に結びつくものがあり、お薬や手術(カテーテル治療または外科手術)が必要となる人がいることが最近わかってきました。

最近話題となっている、小児期に手術を受けた後に成人期に再手術が必要となるもう一つの心疾患として、単心室型心疾患に対するフォンタン型手術の再手術があります。以前は右心房と肺動脈をつなぐ手術がなされていましたが、この手術では右心房の負担が大きく、心房性不整脈(上室性頻脈)が出現してくることがわかってきました。手術後15年~20年で出現してきますが、もともと、循環の予備能力が低いため、不整脈が出てくると循環の破綻をきたすことがあり、死亡原因ともなります。そこで、TCPC手術(先天性心疾患の項参照)への変更と不整脈に対する手術が必要になる人が増加してきています。

図:ファロー四徴症根治術後に肺動脈弁置換術、不整脈手術及び両心室ペーシング(心不全の治療)を施行した症例の胸部レントゲン写真(左:再手術前、右:再手術後)。心臓が小さくなっている。

胸部レントゲン写真(左:再手術前、右:再手術後)

(文責:益田)