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留学記Study at otherinstitutions

呼吸器外科

Memorial Sloan Kettering Cancer Center, U.S.A. 呼吸器外科 鮫島譲司

著名なDr.Rusch(前部長)

著名なDr.Rusch(前部長)

2004年横浜市立大学卒で,現在神奈川県立がんセンター呼吸器外科に勤務している鮫島と申します。2018年11月から2か月間, ニューヨークのMemorial Sloan Kettering Cancer Centerに短期留学させて頂きましたのでご報告致します。この短期留学は日本胸部外科学会で募集していた2018年度のJATSフェローシップに応募し,選出されたことによるものです。JATSフェローシップはヨーロッパや北アメリカを中心とした海外施設における手術治療と周術期管理の見学を通して,胸部外科領域の最先端医療を修得する際の渡航費および滞在費の一部を補助する海外留学助成です。選考人数は心臓血管外科領域2名,呼吸器外科領域2名,食道外科領域1名が上限とされています。選出通知のメール後,学会の国際委員会の元大阪大学教授から電話があり,どこの施設に行きたいか聞かれました。昨年度のフェローシップに選ばれた先生方はヨーロッパの施設に行っていましたが,私はせっかく頂いた機会なので米国のトップクラスの施設に行ってみたいと思い,Memorial Sloan Kettering Cancer Centerを選びました。事務手続きや日程調整に難航しましたが,2018年11月2日に単身渡米し,2019年1月2日に帰国しました。
Memorial Sloan Kettering Cancer Centerはニューヨークのマンハッタンにあり,メインキャンパスは68th streetと非常に良いロケーションです。Thoracic ServiceのAttending Surgeonは12人おり,前々部長のDr.Ginsbergは肺癌に対する標準治療が肺葉切除であると結論付けた有名な論文のauthorであり,前部長のDr.Ruschは米国初の女性胸部外科医で,世界的にも有名な先生です。Attending Surgeon 2人に対し,1人のFellowが1か月交代でつき,手術にはAttending Surgeon,Fellow,Physician Assistant(PA)の3人で入ります。12人のうち3人のAttending Surgeonがda Vinci手術を行っており,特にDr.Parkは10年以上のda Vinci手術の経験があり,あらゆる手術でda Vinci Surgical Systemを用いていました。この施設を選んで良かったのは,Attending Surgeonが12人いるため毎日複数の手術があり,自分の見たい手術を選べたことです。私は日本ではまだ少ないda Vinci手術を中心に見学しました。また,様々なカンファレンスが毎朝6時半あるいは7時から行われ,フェローやレジデントに対する教育的なカンファレンスが多い印象でした。有名病院のため世界中から見学者が来ており,我々はClinical Observerという立場で手術,カンファレンス,外来,病棟見学を行いました。私とほぼ同じ時期に来ていた中国の胸部外科医のDr.Yifanとは年齢が近いため非常に仲良くなり,毎日一緒に食事を取ったり,休日にフィラデルフィアまで日帰り旅行に行ったりしました。その中で中国の呼吸器外科の現状についても詳しく知ることができ,日本とは桁違いの症例数のため(日本で最も多く呼吸器外科の手術を行っている病院でも年間約700件なのに対し,上海には年間10000件超の病院が2つ存在する),非常に速いスピードで外科治療も発達しているように感じました。ロボット支援手術が主流の北米とUniportal(単孔式)VATSが主流のアジア・ヨーロッパの流れから,単孔式ロボットが出現している中で,日本の呼吸器外科はガラパゴス化しているのではないかと危惧しました。
話は変わりますが,11月から12月のニューヨークはホリデーシーズンに当たるため,街の雰囲気はとても華やかでした。私はネット検索で見つけたヨーロッパの慈善団体が運営するバス・トイレ共用の男性寮に2か月間宿泊しましたが(色々心配されましたが安全で良い宿舎でした),マンハッタンの中でも高級住宅街であるアッパーイーストサイドの街中を毎日25分程度歩いて病院まで通いました。休日にはセントラルパークを散策したり,地元の人に混じって映画館に行ったりして過ごしました。
今回の海外経験は2か月という短いものでしたが,非常に貴重な経験でした。私は帰国子女ではなく留学経験もないので,英語力は非常に不安な要素でしたが,目標時期と目的が設定されることで渡米前に集中して英語に取り組みました。米国では当然ながら毎日英語に触れ,海外で友人もできたので,英語を話す機会に恵まれたことも良かったと思います。インターネットが普及した世の中ですが,海外に実際に足を運んで現状を知ることや海外の人と直接話すことで得られる知識や経験は全く違うものだと思いますので,今回思い切って飛び込んでみて良い経験が得られました。今回の経験を今後の外科治療学教室や若い先生方に還元していきたいと思います。
2か月の不在の間,神奈川県立がんセンター呼吸器外科の先生方には負担を強い,ご迷惑をお掛けしましたが,不在の間を支えていただいた同僚の先生方並びに手術の手伝いに来て頂いた外科治療学教室の先生方にはこの場を借りて感謝申し上げます。

メインキャンパスの正面入り口

メインキャンパスの正面入り口

ロボット支援手術で有名なDr.Park

ロボット支援手術で有名なDr.Park

Dr.Molenaと中国からのobserverであるDr.Yifan

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寮から徒歩5分のCentral Parkの紅葉

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Thanksgiving Dayが終わるとChristmasに向けて,路上でもみの木が売り出されます

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